レンジローバークラシック エンジンマネージメント 電子制御 刷新①
以前W460 230GEのKE JETONICを廃し、電子制御化したお客様から、
レンジローバークラシック(以下RRC)も、230GEのように安心して乗れる車になるのか?
とのご質問をいただきました。
結論からいうと、
できます。
みなさまご存じの通りRRCのオリジナルのなんやらかんやらは、トラブルの一言に尽きますが、とりあえずエンジンマネージメントがまともになってお出かけしても帰ってこれる車にできます。
それでは今回のメニューは、まず
- ①電子スロットル化
純正のスロットル一体型のインテークチャンバーのスロットル部分をぶった切って、電子スロットルを取りつける為に、アダプアターを溶接し試作します。
純正のインテークチャンバーは鋳物なので特殊溶接になります。
フィッティングを確認して、問題なければ試作品をもとにCADデータを作成し、アルミ切削、もしくはプリントアウトする計画です。
これによるメリットは、純正エアフロメーター、アイドルコントロールバルブ、スロットルポジションセンサーを削除できます。これで壊れそうな部品を3つ削除できます。
また、純正スロットルに入っている冷却水とブローバイのホースも不要になりスッキリします。
- ②ディストリビューター廃止、コイルパック化
純正のマネージメントを解析すると、イグニッションコイルからでるRPM信号、スロットル開度とエアフロの値で噴射量とタイミングを決めているだけで、カムとクランクの信号がありません。
カムとクランクの信号があるのであれば、高性能なディストリビューターでも良かったのですが、信号がないとシーケンシャル噴射ができないのでディストリビューターの回転をもらってデュアルシンクの信号を取り出すトリガーキットを製作します。
頭でっかちの9本もコードが生えたディストリビューターは、スッキリしたトリガーキットに変わります。
点火はディストリビューターから、コイルパックに変更。
プラグコード接続になるので、スペース的に4chもしくは2chの点火になりそうです。
- ③インジェクター最適化、シーケンシャル噴射
こちらは、純正のインジェクターの配線図になりますが、YUとYWがインジェクターの信号線になります。
簡単に説明するとYUもしくはYWに信号が来ると燃料を噴射しますが、配線図上V8の片バンク4個ずつ配線されており、要するにジャジャ吹きです。
燃費が悪いわけです。
燃費もさることながらオリジナルのスペックは、3.9リッターで182ps(134kw)、4.2リッターで200ps(147kw)しかありません。これはお粗末です。
完成したらパワーチェックする予定ですが、うまくいけば80~100psアップくらいは出来そうです。
そもそもオリジナルのインジェクターは容量不足で馬力が出ません。
その当時の技術の限界だったのでしょう。
整備書によると180-195cc/mの吐出量しかなく、計算上、公表スペックぎりぎりです。
おそらく実際には10~20%減のスペックしか出ていないでしょう。
パワーがないから踏むので燃費が悪いの悪循環です。
インジェクターは現代の倍ほどの吐出量があるものに置き換えます。
- ④PWMファンコントロール
RRC V8はまぁまぁ熱がきついので、メカニカルファンはそのまま置いておいて、ラジエター、コンデンサー前のプッシュファンをPWMで制御する予定です。
これはまだ暫定です。気が変わるかもしれません。
- ⑤PDM(パワーディストリビューションモジュール)設置
RRCには山のように接点リレーが付いています。これをPDMを設置することにより無接点のリレー回路とフューズを構築することが出来ます。
RRCのリレーは、信頼性に乏しくよく故障します。見直すべき回路も多数あります。
また過去にスターター系統の配線の劣化からショートし、室内配線を焼失したRRCもあります。
現状、考えている主なメニューは上記になりますが作業途中におそらく増えると思います。
散々悪口みたいなことを書いてきましたが、RRCは本当に良い車です。
以前陸運局での新規検査で、前軸重、後軸重を計測したとき本当に50:50の重量配分で、びっくりしました。
地面にペタッと座ったまま転げていくような、なんともほかの車にはないものです。
上記のメニューをやれば、確実に飛躍的に良くなります。
まだ実作業には至っていませんが、完成が楽しみです。